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南極の地図の向き

普通は地図の上は北ですが、上がどちらの方角かという点がまったく問題にならない地図があります。北極と南極の地図です。 北極を中心とした図では、360°すべてが南向きで、逆に南極の地図ではすべてが北向きになります。どちらを上にしても方角は同じことになりますが、どのような向きで地図を描くかという問題は残ります。
そこで、北極と南極の地図がどのように描かれているかを教科書の地図帳で比較してみました。

南極の地図

帝国書院の『新詳高等地図』2007年版では、北極の図は西経90°の経線が上、つまりロシアが下になっています。一方、南極は0°の経線が上で、南極半島が左になっています。

南極の地図

ところが、『新詳高等地図』の2008年版になると、北極はそのままですが、南極は東経90°の経線が上で、南極半島が下です。二宮書店の『高等地図帳』『詳解現代地図』『基本地図帳』もこれと同じです。

南極の地図

一方、東京書籍の『新高等地図』では、北極は0°が上、つまりベーリング海峡が下になっており、南極は180°の経線が上で、南極半島が右になっています。

北極はともかく、南極の場合は大陸があるので向きが違うと地図の印象がずいぶん変わってきます。 一般の地図帳を見ると、南極の地図には、西経40°が上のもの(『ブリタニカ国際地図』TBSブリタニカ)や東経20°が上のもの(『デラックス世界地図帳』昭文社)など、さらにバリエーションがあることがわかります。

結局、南極大陸をどのように描くかについては特に決まりはないようです。確認するには至りませんでしたが、おそらく西経90°が上になった地図もあるのではないでしょうか。 Googleで南極大陸をイメージ検索してみた結果では、0°経線を上にした図が多数派のような気がします。もっとも、統計を取ったわけではないので正確なところはわかりません。

他の大陸であれば、北を上にした形で記憶しているのが普通です。ところが南極大陸に関して言えば、大陸の形をどのように認識しているかが人によって異なっているということになりそうです。

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公開日:2008/12/4