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一般用地図帳

一般向けの地図帳についてまとめています。教科書用の地図帳については、二宮書店の地図帳帝国書院の地図帳をご覧下さい。

ベーシックアトラス日本地図帳

A4版より少し小さいサイズです。メインの分県図は、一部の島嶼部を除いて縮尺がすべて1:45万に統一されています。縮尺が統一されていると、大きな県では見開きに入りきらない場合があります。これは欠点のようにも思えますが、距離感や大きさの感覚がわかりやすいという利点があります。分県図とはいっても、一つの県だけが描かれているわけではなく、隣接する都道府県もちゃんと記載されています。鳥取県・岡山県・香川県が見開きになっているページがありますが、これは他の地図帳ではなかなか見られない構成です。対馬、隠岐諸島や佐渡島など、島と本土の位置関係や距離がわかりやすいのも良いところです。

普通の地図帳だと、見開き内で表示するために北海道の縮尺が小さくなっているものがほとんどです。そのため北海道の大きさがあまり実感できませんが、この地図帳では縮尺を固定したために北海道が8枚(北方領土も加えれば9枚)に分割されており、非常に大きいのがよくわかります。国後、択捉の大きさも実感できます。その代わり、地方全体を一度に見たいという用途には向いていません。

都市の拡大図は大阪と東京だけで、しかも1:15万という小縮尺ですが、用途によればこれでも十分でしょう。色合いが非常にくっきりしていて美しいのが特長です。ただ、ルビをつける基準がややあいまいで、特に北海道では難しい地名を読むのに苦労します。また、索引は15ページしかなく、細かい地名は省略されているのは残念です。

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ベーシックアトラス世界地図帳

プレミアムアトラス日本地図帳

ベーシックアトラスより少し大きく、A4版サイズです。地名のデータなどは更新されていると思いますが、日本全図、地域図、メインとなる分県図すべて、ベーシックアトラスと同じ地図を使っています。印刷の美しさもベーシックアトラスそのままです。本のサイズは大きくなっているのですが、地図の周囲にマージンが付いているので、地図自体の大きさはベーシックアトラスと同じです。

ベーシックアトラスとは違い、縮尺1:20000と1:7000の主要都市の市街図(東京23区は1:125000)が収録されており、また平成7(1995)年以降に市町村合併が行われた自治体については、地名索引に旧市町村名が追加されています。

プレミアムアトラス世界地図帳

『プレミアムアトラス日本地図帳』と同じく、印刷は非常に美しい仕上がりです。段彩の色は、4000mまでは茶系ですが、4000~4500mはグレー、それ以上は白です。帝国書院の地図帳を見慣れた目から見ると、チベットなどはかなり変った印象を受けます。地名にはラテン文字がついています。台湾・中国・朝鮮半島の地図では漢字に現地音のルビが併記されていますが、索引は日本語読みでしか引けないのは不便です。たとえば中国の蘇州は、地図では「スーチョウ」ですが、索引では「そしゅう」を引かないと出てきません。ちなみに『最新基本地図』ではどちらからでも引けるようになっています。

インドネシアのハルマヘラ(Halmahera)島が「ハラマヘラ島」になっているのは気になりました。日本では昔から「ハルマヘラ島」と呼ぶのが普通です。現地の発音もこの方が近いと思うのですが、あるいは何か別の根拠があるのでしょうか。

『最新基本地図』とくらべると地名のフォントが大きく、インドの地図などでは一面地名という感じです。老眼の人にはフォントが大きい方がいいのでしょうが、見やすさは『最新基本地図』の方が上のような気がします。「世界の国々」というコーナーには、それぞれの国の国旗、面積、人口、首都など、基本的なデータがまとめられています。国旗の縦横はどの国も2:3に固定している本も多いのですが、この地図帳ではちゃんと正しい比率になっています。また、ベーシックアトラスでは都市図がありませんでしたが、このプレミアムアトラスでは新たに収録されました。

日本国内の自治体合併は一段落した感がありますが、世界の国境線はまだまだ流動的です。それを考えると、日本地図と世界地図を別々に買うのも一つの手かもしれません。

旅に出たくなる地図 日本

普通の地図帳でも「見て楽しむ」という使い方はできますが、これはさらに現地に行った気分になれる地図帳です。「地図帳は欲しい、でも教科書用の地図帳は勉強しているみたいでちょっと」という人におすすめです。写真も豊富で、各地の四季の見所、温泉、名物郷土料理、有名駅弁といったコーナーなどもあり、旅行ガイドを加味した風の地図帳です。「実用地図帳」といってもいいかもしれません。

地図の中に、観光地や特産品などの小さなイラストが描かれており、現地の雰囲気を想像しやすくなっています。また地図記号には、普通の学校とか寺院といったものに加え、「さくらの名所」「紅葉の名所」や「名水のある場所」「映画やドラマの舞台」などというものもあります。

また、普通の地図帳ではあまり掲載されることのない観光スポットが充実しており、索引には、地名だけではなく「ハウステンボス」や「横浜赤レンガ倉庫」なども載っています。普通の地図だけでなく鳥瞰図も収録されていますが、山岳部の鳥瞰図が特に迫力があって美しい仕上がりです。

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旅に出たくなる地図 世界

最新基本地図 世界・日本

全般にかなり詳しい地図で、教科書用の地図帳に比べると地図の数がかなり多くなっています。ヨーロッパの主要な国にはすべて1ページ、または見開きで独立した地図が当てられています。「太平洋の島々」というページなどもあり、グアムやサイパンといったおなじみの島だけでなく、フィジー諸島やタヒチ島、ニューカレドニア島なども拡大図で掲載されています。

また都市の詳細図は地図帳ではおまけ程度のことが多いのですが、この本では世界地図・日本地図ともに、かなり大きなスペースが割り振られています。一般向けの地図帳としては珍しく、詳しい統計も載っています。外国の地名にはラテン文字の表記も付いており、日本地図では、少し難しい地名には全てルビがふってあります。平成の市町村大合併の特集ページがあり、合併した市町村が地図上で確認できるのも便利です。

各国の言語や宗教、行政区分といった主題図も豊富です。このあたりは、教科書用地図帳のデータをそのまま利用しているのでしょう。帝国書院の地図帳の中では、一般用としては定番といえます。この一冊があれば、まず困ることはないでしょう。教科書用の地図帳では物足りないという方におすすめです。

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最終更新日:2013/7/1
公開日:2008/12/4