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図書館で見たい地図集

昔の地図を集めた本が多数出版されていますが、そのうち主なものをご紹介します。いずれもかなりの大型本です。昔の地図を見たい時、図書館でこうした地図集が閲覧できれば国土地理院まで行かなくても済みます。今でも販売されている本もありますが、十万円を超えるものがほとんどなので個人ではちょっと手が出ません。
以下の本はいずれも県立図書館レベルだとかなりのところに置いてあります。また大学の図書館で所蔵している場合もあります。今は大学図書館も一般に開放されていることが多いので、近所の大学のWebサイトを確認してみるといいでしょう。もちろん大学図書館の蔵書も各大学のサイト上で所蔵検索ができます。

日本全国の地図

幕末・明治日本国勢地図:初版輯製二十万分一図集成
柏書房
タイトルには「幕末」とありますが、収録されているのは1886(明治19)~1893(明治26)年の地図です。千島列島の占守島から沖縄の与那国島まで、全153枚です。近代の地図と現代の地図の橋渡しとなる存在で、作成の際は伊能忠敬の地図も参考にされています。等高線ではなくケバが使用されており、また縮尺にはキロメートルだけでなく里も使用されているなど、時代を感じさせる地図です。明治以前の地形を知るには貴重な資料です。

日本列島二万五千分の一地図集成
科学書院
全部で5巻あり、日本全国の1:25000地図が収録されています。掲載時期は20世紀初頭から第二次世界大戦前までで、全1896枚です。

日本古地図大成
中村拓監修 講談社
江戸時代末までに日本で作られた地図を集めたもので、大型の折り込み図も含まれています。日本最初の全国図である行基図や、伊能忠敬の地図、街道筋の道中図、各地の城下町の絵図など、さまざまな地図が掲載されています。

日本古地図集成
秋岡武次郎編 鹿島研究所出版会
日本全図、日本地方図、欧州製日本図、伊能図等の4部構成です。いずれも1枚物の大型地図なので迫力があります。特にヨーロッパで作られた日本の古地図はなかなか大きなサイズで見る機会がないので貴重です。

明治大正日本都市地図集成
地図資料編纂会編 柏書房

江戸・東京の地図

江戸-東京市街地図集成
地図資料編纂会編 柏書房
【掲載地図】
1巻
江戸期
・『江戸大絵図』1657(明暦3)年頃
・『新板江戸大絵図』1670(寛文10)~1673(寛文13)年
・『分間江戸大絵図 完』1779(安永8)年
・『分間江戸大絵図 完』1859(安政6)年
明治期
・『明治東京全図』1876(明治9)年
・『東京実測全図』1886(明治19)~1888(明治21)年
・『東京実測全図』1895(明治28)年

2巻
明治期
・『東京全図』1887(明治20)年
・『番地界入東京全図』1911(明治44)年
大正期
・『番地界入東京全図』1919(大正8)~1922(大正11)年
昭和期
・『大東京市各区別地図』1930(昭和5)~1932(昭和7)年
・『東京都五千分之一地図』1951(昭和26)年
・『東京三千分の一図』1956(昭和31)~1959(昭和34)年

2巻組みで、1巻は1657(明暦3)年~1895(明治28)年、2巻は1887(明治20)年~1959(昭和34)年の地図です。
掲載地域は東京の旧15区とその周辺で、山の手線内とその東側に当たります。サブタイトルには「5千分の1」とありますが、厳密に縮尺1:5000と言えるのは『東京実測全図』と『東京都五千分之一地図』で、それ以外は1:5000になるよう縮小・拡大してあります。『江戸大絵図』だけはカラーで、そのほか元の地図はカラーですが一色で掲載されているものもあります。全24地域ごとに古い地図から新しい地図の順に掲載されており、時代の変遷を追うことができます。
特に珍しいのは明治20年の『東京全図』で、都心部の詳細な等高線を見ることができます。都心の地形を知るには貴重な資料です。
都内の公共図書館ではかなりのところに置いてあります。

明治・大正・昭和東京1万分1地形図集成
柏書房
掲載されているのは明治16~17年、明治42年、大正14年、昭和12年の地図です。昭和12年の地図は旧35区(現23区)すべてを掲載していますが、それ以前の地図は東京中心部のみです。
明治16~17年の地図は元の縮尺は1:5000で、元の地図9枚を接合・縮小して4分割しています。縮小してあるせいで非常に細かいのですが、まるで絵画のような美しさです。
昭和12年の地図では、軍の施設や戦略拠点は省略されています。例えば淀橋浄水場は、明治42年、大正14年の地図ではちゃんと描かれていますが、昭和12年の地図では隠されています。針葉樹林の記号と雲のような模様が描かれていますが、稚拙なのですぐおかしいとわかります。そのほか赤坂離宮、新宿御苑や各宮家の屋敷などにも針葉樹林・広葉樹林の記号が描かれて偽装されています。特に四谷の地図でこうした戦時改描を多く見ることができます。
この本も都内の多くの図書館で所蔵しています。

戦災復興期東京1万分1地形図集成
地図資料編纂会編 柏書房
第一部は昭和20年現在の地図で、地形は昭和12年の陸地測量部1万分の1地形図を元にしており、建物は昭和20年8~9月に撮影された空中写真から作図されています。空襲で焼けた地域は家屋がなく、空白なので被災地が一目でわかります。終戦後の地図なので、淀橋浄水場などの戦時改描部分も正しく描かれています。「本圖は戰災復興ノタメ貸與セラレタル米國陸軍空中寫眞ニヨリ編纂セルモノナリ」という注意書きが時代を感じさせます。
第二部は昭和32年現在(推定)の地図ですが、家屋が描かれていないので第一部の地図と比較することができないのが残念です。

明治前期・昭和前期東京都市地図
清水靖夫編 柏書房

その他の地域の地図

大正・昭和東京周辺1万分1地形図集成:京葉・京浜・多摩地区
柏書房

明治前期・昭和前期横浜都市地図
清水靖夫・石黒徹編 柏書房
掲載時期は1881(明治14)年~1970(昭和45)年です。

明治前期・昭和前期神戸都市地図
清水靖夫編 柏書房
掲載時期は1881(明治14)年~1937(昭和12)年です。

明治前期・昭和前期大阪都市地図
清水靖夫編 柏書房
掲載時期は1884(明治17)年~1932(昭和7)年です。

明治・昭和東海都市地図
清水靖夫編 柏書房
掲載時期は1889(明治22)年~1971(昭和46)年です。

慶長昭和京都地図集成
柏書房
掲載時期は1611(慶長16)年~1940(昭和15)年です。

大正・昭和琉球諸島地形図集成
地図資料編纂会編 柏書房

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最終更新日:2009/8/10
公開日:2009/2/1