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地図から見る生活習慣

武蔵野緑町パークタウンの地図

不動産物件では、「日当たり良好」という条件は歓迎されます。周知の通り、南向きの部屋は家賃も高くなります。一軒家はもちろん、団地やマンションでも、日照を考えた造りにするのが普通です。
このことは地図の上でも確認できます。右の地図は東京都武蔵野市の武蔵野緑町パークタウンの地図ですが、建物がほぼ同じ向きで、整然と並んでいることがわかります。日当たりを考えて、どの部屋も南向きにしようとすると、必然的に建物は東西方向に長くなります。普通、地図で見かける団地は、土地の制約がない限り、このように東西に伸びたものがほとんどです。

住宅の地図

ところが地図を見ていると、ごくまれに変った配置の建物を見つけることがあります。右の地図を見ると、土地に十分余裕があるにもかかわらず、どういうわけか建物の向きがみなバラバラになっています。中には南北方向に長いものもあり、上の地図と見比べると、かなり違和感があります。この建物群は、普通の団地やマンションと一体何が違うのでしょうか?

実は、これは米軍人・軍属用の宿舎なのです。アメリカでは、日本のように日当たりを考慮することがなく、建物を南向きに建てる習慣がありません。その習慣をそのまま日本に持ち込んだために、このような住居の配置が見られるのです。洗濯物を日に干すこともなく、冬でもセントラルヒーティングのおかげで薄着で過ごせるので、家の方位にこだわる必要はないのです。

今では「ローエネルギーハウス」という考え方も登場し、日光を有効に活用する住宅も出てきてはいるようですが、日当たりを極端に重視する日本の文化とは、やはり比較になりません。日照を考慮していない米軍住宅は、たとえどんなに広くても、日本人が住むにはあまり快適ではなさそうです。

これは横田基地(東京都武蔵村山市三ツ木)の地図ですが、横田に限らず、三沢や嘉手納などのアメリカ軍基地の地図を見ても、同じような米軍ハウスの配置を発見できます。地図から日米両国の住まいの違いまで読み取れる、希有な例と言えるでしょう。

※国土地理院発行の数値地図25000(地図画像)「吉祥寺」、「拝島」を使用しました。

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公開日:2010/8/4